眼瞼下垂には、加齢性による眼瞼下垂のほか、生まれつき挙筋の働きが弱い先天性眼瞼下垂、さらに生活習慣や外的刺激など後天的要因によって発症するタイプなど、さまざまな種類があります。
若い人(10代・20代・30代)に多い「隠れ眼瞼下垂」
「10代~30代の若い人でもパソコンやスマホを長時間使うことで、目が疲れやすい、眼の奥が痛い、肩や首の凝りがひどい、頭痛がひどい、寝つきが悪い、熟睡感がない、気分が塞ぐなどと不調を感じている人は多くいます。 「サボっている」 「やる気がない」ように見えると言われたりなど、「不定愁訴」とされる症状を自覚しながら、「長時間のパソコン仕事だから」「スマホを長時間使用しているから」「コンタクトレンズを長期装用しているから」とあきらめていませんか。 特に若い人に見られる初期の眼瞼下垂症は、本人の自覚がなかったり、「若いうちは眼瞼下垂症にならない」と思っている事もあり、クリニックに診察に来る人が少ないため、「眼瞼下垂」と気がついていない人が多くいます。
そんな「隠れ眼瞼下垂」は放置していると、徐々に症状が重くなってきます。頭痛や肩こりの原因が全て眼瞼下垂ではありませんが、症状が重くなる前に、専門のドクターの診察を受けてみましょう。
眼瞼下垂の手術を受けるのは20代が多い
2021年2月28日までの過去2年以内に当院で保険診療による眼瞼下垂手術を受けられた患者さん418人の年代を調査しました。 20才代の方が104人で全体の24.9%、2番目に多かった50才代の91人を上回りました。また10代から30代の患者さんの合計数は197人で全体の47.1%と約半数近くを占めておりました。
※データに自費診療の患者さんは含まれておりません。
※この患者さんの数は全て眼瞼下垂症と厳しく診断された方のみであり、診断基準を満たしていない方や美容目的の方は含まれておりません。
若い人の「隠れ眼瞼下垂」の症状
- パソコンやスマホで目が疲れやすい
- 眼の奥が痛い
- 肩や首の凝りがひどい
- 頭痛がひどい
- 勉強や仕事に集中できず、成果が出にくい
- やる気はあるのにサボっている様に見られる
- 若いのにおでこのシワが目立つようになった
- 夕方になると、眼を閉じたくなる
- 夜になると早く寝てしまいたくなる
- 目が疲れやすく集中が続かない
- 目が疲れると勉強や仕事の能率が下がる
上記のような症状が気になる場合は、10代、20代でも眼瞼下垂の可能性があります。気になる場合は1度チェックしてみましょう。
先天性の眼瞼下垂症
子供の眼瞼下垂の特徴は、両眼とも明らかにまぶたが下がっている、左右で目の開き具合に差があるなどがあります。また、まぶたを開けるのが困難なため、物を見る際にあごを突き出したり、頭を傾けたりするような見方をすることもあります。見た目で判断出来る場合は症状を見つけやすいですが、症状が軽いと気が付かない場合があります。
先天性眼瞼下垂症は、目を緩めてまっすぐ前を見たときに、上まぶたが瞳孔(黒目の中心)より上に上がっていない場合に診断されます。これは生まれつきに「挙筋(まぶたを上げる筋肉)」の発達が悪かったり、挙筋が備わっていなかったり、「挙筋」への神経の伝達が悪かったりすることが原因です。
10代、20代の先天性眼瞼下垂の症状の程度は軽度から重度まで個人差が大きのですが、挙筋前転法で治る方が非常に多いという特徴があります。「先天性であっても挙筋が備わっていれば、挙筋前転法で改善できる可能性があるので、症状が重くなる前に、専門の医師に相談しましょう。
後天性の眼瞼下垂症
若い人の眼瞼下垂の場合は、「間違った方法でコンタクトレンズを使っている」「花粉症、アトピーなどのかゆみで、目の周りをこすりすぎる」「アイプチやつけまつげなどアイメイクのし過ぎで、まぶたに負荷をかけている」など何らかの原因で目の周りの筋力が衰えてきたのが原因と考えられます。
10代(中学生、高校生)の眼瞼下垂の特徴
中学生から高校生ぐらいになると、急激な成長やホルモンバランスの変化によって肌やまぶたがデリケートになっています。アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギーによるまぶたのこすりすぎ、洗顔時に顔やまぶたを乱暴に洗う、コンタクトレンズの間違った使い方などが原因で、挙筋腱膜と瞼の結合部分が緩んで眼瞼下垂を招くことがあります。また、スマートフォンやパソコンの使用時間が増え、長時間の使用による目の酷使で、まぶた周りの筋肉が疲労しやすくなるため、眼瞼下垂の症状が露呈する可能性があります。
まぶたに繰り返し強い刺激や摩擦が加わることは、挙筋腱膜の緩みを進める要因となり、若い人でもまぶたが徐々に下がってくることがあるため注意が必要です。
20代、30代の眼瞼下垂の特徴
20代~30代では、仕事や勉強、家事・育児で目を酷使する機会が増えてきます。長時間のPCやスマホの使用も増え、おでこの負担が増えて疲れやすくなります。
「まぶたが重い」「目が開きにくい」という自覚症状を、「疲れやすい」「睡眠不足のせい」「加齢」「仕事疲れ」などと考え、眼瞼下垂のサインに気づかないこともあります。気づいたときには、「片目だけ開きづらい」「黒目の見え方が左右で違う」などの症状が出ることも珍しくありません。眼瞼下垂が原因の集中力の低下や頭痛、肩こりなども見逃している可能性があります。
10代~30代の気づきにくい眼瞼下垂のポイント
この年代は自分の見た目に気づきにくく、「疲れて見える」「眠そうに見える」状態も家族には「成長期の変化」と受け取ってしまうため、症状が見逃されやすい場合があります。
眼瞼下垂によって、目が開きにくいことによる眉を上げる癖が強くなり、額のシワが深く刻まれてしまうこともあります。
二重埋没法と先天性眼瞼下垂
厚ぼったい一重まぶたの方で二重埋没法を何度繰り返しても、二重まぶたにならない場合、比較的弱い先天性の眼瞼下垂症や初期の眼瞼下垂かもしれません。
眼瞼下垂は主な原因は加齢によるといわれていますが、 10代、20代の若い人でも眼瞼下垂の症状がある人がいます。眼瞼下垂の症状は診断が難しいため、軽い症状では判別が難しい時があります。しかし専門のドクターの目で見れば、すぐに判断が付きます。
埋没法を何度も繰り返すと、まぶたの中に糸が溜まってしまい、まぶたに負担がかかるようになります。
眼瞼下垂の症状があると思ったら、まずは眼瞼下垂を疑って、専門のドクターの診察を受けてみましょう。
親御さんへのメッセージ
お子さまのまぶたが「少し下がっている気がする」や「いつも眠そうに見える」または「片目だけ開きにくそうにしている」といった場合、成長や疲労だけではなく、眼瞼下垂が関係している可能性があります。中学生や高校生は、花粉症で目をこする習慣やアトピー性皮膚炎、長時間のスマートフォンの使用、アイプチやメイクの影響などによって、まぶたに過度な負担がかかりやすくなり、気づかないうちに眼瞼下垂が進行することがあります。
若い人の眼瞼下垂は「見た目の変化」だけでなく、勉強への集中力の低下や頭痛、肩こり、疲れ目、姿勢の悪化など、日常生活にも影響を及ぼすことがあります。子ども自身は違和感に気づきにくく、「疲れているだけ」や「視力が落ちたのかもしれない」と見過ごしてしまうケースも珍しくありません。
もし、まぶたの開き方や目の使い方に不安がある場合は、早めに専門医の診察を受けることで原因を正しく診断し、必要に応じて適切な治療やケアにつなげることをお勧めのします。眼瞼下垂は放置しても自然に改善するものではありませんが、早期に気づくことで、負担を軽くすることができるのです。
眼瞼下垂を放置するとどうなるか
眼瞼下垂は放置しても自然に改善することはなく、日常生活の負担によって少しずつ進行して、視野が狭くなり視力低下のリスク、肩こり・頭痛・眼精疲労の悪化、見た目の変化(眠そうな目、老け顔になる、目つきが悪くなる)、自律神経の乱れによる精神的な不調などを引き起こす可能性があります。まぶたの開きが弱いため、視界を確保するために眉を上げる癖が固定化し、おでこ(額)や眉間のシワが深く刻まれるようにもなります。
若い人の眼瞼下垂は、早い段階で治療したほうが負担を軽減できる可能性が高いです。眼瞼下垂は年齢を重ねるほど放置すると、まぶたのたるみが進行しやすくなり、症状が強くなってから治療を行う場合、ダウンタイムが長くなってしまうこともあります。
眼瞼下垂の早期治療のメリット
眼瞼下垂の早期治療は、視機能の改善、頭痛や肩こりなどの緩和などのメリットがあります。眼瞼下垂の手術によって、まぶたが自然に開くようになります。視界が広がり、目の筋肉やおでこ(額)、眉間の表情筋を無理に使うことがなくなり、夕方の重だるさや目の奥の痛み、眼精疲労、慢性的な疲労感が軽減する可能性があります。また、眉を上げ続ける癖が解消され、額のシワが深くなるのを予防する効果が期待できます。視界がすっきりすることで集中力が持続し、勉強、仕事、運転などでのパフォーマンスにも良い影響が期待できます。
若い人が気にする眼瞼下垂手術の「デザイン」
眼瞼下垂の治療では、まぶたがしっかり開くように改善することが最も重要ですが、それと同じくらい大切なのは「デザイン」です。
眼瞼下垂のデザインとは、治療後のまぶたの見え方や全体のバランスを指し、患者様の骨格やまぶたの厚み、左右の違いなどを総合的に考えて仕上がりをデザインすることです。単にまぶたを大きく開けば良いわけではなく、必要以上に開きすぎて不自然にならないよう、自然な表情が保たれるラインを丁寧に見極めることが重要です。若い人の場合、アイメイクの習慣があったり、左右差が気になったり、まつげの上がり方を重視したいなど、見た目に対するこだわりが強い傾向があります。まぶたは表情によって形が変わるため、希望する見た目だけを優先すると、実際の仕上がりでは違和感が出ることがあります。
眼瞼下垂のデザインは「美容目的」のためではなく、機能と自然な見た目の仕上がりのために行う必要があります。しっかりと目が開くようになることで疲れにくくなるだけでなく、まぶたと表情のバランスが整うことで、明るい印象や柔らかい表情にもつながります。
若い人(10代・20代・30代)の眼瞼下垂についてよくある質問
- Q 10代や20代でも眼瞼下垂になりますか?
- A 10代~30代の若い人でもパソコンやスマホを長時間使うことで、目が疲れやすい、眼の奥が痛い、肩や首の凝りがひどい、頭痛がひどい、集中が続かない、気分が塞ぐなどと不調を感じている人がいます。原因は先天性、または後天性の眼瞼下垂症の場合があります。
眼瞼下垂の症状が気になる場合は、眼瞼下垂症のセルフチェックで確認しましょう。
眼瞼下垂症のセルフチェック
- 顔を正面に向け目を軽く閉じた状態で、眉の上を指で押さえます。
- その状態で目を開けてください。
- Q 10代や20代の眼瞼下垂の症状を教えてください。
- A 10代や20代でも眼瞼下垂の症状は同じです。
主な症状は、まぶたが重くて開けにくい、眠気、肩こり、頭痛がひどい、まぶたが開けにくいため勉強や仕事に集中できない、目が疲れやすいなどがあります。
この病気は自然に治る事はありません。軽症でも症状が強ければ、早く手術を受けた方が症状が改善するため、当院では早めの治療をお勧めしております。 - Q 10代や20代の眼瞼下垂の治療方法を教えてください。
- A 若い人の眼瞼下垂症の治療方法は、保険適用の眼瞼下垂の手術や自費診療の切らない眼瞼下垂(スーパー埋没法)、レーザーメスによる眼瞼下垂の手術方法があります。
- Q 二重まぶた埋没法を何度繰り返してもキレイな二重になりません。この場合は眼瞼下垂でしょうか?
- A 1二重埋没法を何度繰り返しても、二重まぶたにならない場合、眼瞼下垂症の可能性があります。
詳しくは 「二重埋没法と先天性眼瞼下垂」をご確認ください。 - Q 年齢が若いのにまぶたが下がる原因は何ですか?
- A 10代~30代の若い人でもパソコンやスマホの長時間の使用や、コンタクトレンズの間違った使い方、アイプチやつけまつげなどアイメイクのし過ぎ等、まぶたに過度の負担を掛けていることが原因で、目の周りの筋力が衰えてくると眼瞼下垂の症状が現れる事があります。
- Q スマホやパソコンの見過ぎで眼瞼下垂になる人はいますか?
- A スマホやパソコンの画面を長時間見つめることは、まぶたの筋肉に過度の負担を掛けることになります。目の酷使によってまぶたの筋肉が疲労することは、後天性の眼瞼下垂症の原因の一つと考えられています。
- Q 若い人でも保険適用を受けることはできますか?
- A 視野障害(目が開きにくい)や目が疲れやすい、眼の奥が痛い、肩や首の凝りがひどい、頭痛がひどい、寝つきが悪いなどの眼瞼下垂の症状がある場合は、年齢に関係なく保険適用が可能です。
- Q スマホ・パソコンをやめたら眼瞼下垂は良くなりますか?
- A スマホやパソコンの使用を減らすことで、まぶたの周りの筋肉疲労が軽減し、夕方の重さや目の疲れが改善される場合があります。しかし、すでに挙筋腱膜が緩んでいる「眼瞼下垂そのもの」が治るわけではありません。使用時間を見直すことは症状を軽減する効果はありますが、根本的に回復させるには医療的な治療が必要となります。
- Q 子どものまぶたが下がって見えるのは疲れのせいでしょうか?
- A 夕方になるとまぶたが重く見えたり、片方だけ開きにくそうにしている場合、疲れではなく眼瞼下垂が関係していることがあります。中学生・高校生はスマホの長時間使用やアレルギー症状による目のこすり癖などで、まぶたに負担がかかりやすいため、軽度の眼瞼下垂が発症している可能性があります。疲れや視力の問題だけでは説明できない違和感が続くときは、一度専門医の診察を受けることをお勧めします。
- Q どのタイミングで病院・クリニックを受診すれば良いですか?
- A “もしかしてまぶたが下がっている?”と感じた段階で受診することをおすすめします。
- 片側だけまぶたが下がって見える
- 片側頭痛や肩こりが増えた
- 片側眉を上げて目を開ける癖がある
- 片側視界が狭い、黒目の見える範囲が少ない
- Q 子どもでも眼瞼下垂の手術は受けられますか?
- A 中学生・高校生でも、眼瞼下垂の症状が明らかで日常生活に支障がある場合は手術が可能です。ただし、治療を行う際は保護者の同意が必須となります。手術の必要性やタイミングについて医師としっかり相談し、お子さま本人の意思も尊重して決めていくことが重要です。
- Q 手術をすると学校生活や部活に影響はありますか?
- A 手術後は2~3週間ほど腫れが出ることがありますが、多くの場合は日常生活に大きな支障はありません。ただし、激しい運動や汗をかく部活動は1か月間ほど控える必要があります。授業や勉強は問題なく再開でき、視界が改善することで集中力が上がるケースもあります。
- Q 見た目が変わりすぎないか心配です。
- A 眼瞼下垂手術は「目を大きく見せるための美容手術」ではなく、まぶたを自然に開けられるようにする治療です。治療後のバランスが不自然にならないよう、骨格・まぶたの厚み・左右差を丁寧に確認しながらデザインを行うため、自然な仕上がりを目指すことができます。手術後はまぶたの開きが改善し、自然な二重のラインが整って目元の印象が大きく変わる場合があります。病気の治療であるにもかかわらず「美容目的の手術」されてしまうことがないよう、周囲の理解も含めてサポートしていく必要があります。
- Q 手術を受けるか迷っています。放置しても大丈夫ですか?
- A 眼瞼下垂は放置しても自然に治ることはありません。まぶたの開きがさらに弱くなったり、眉を上げる癖が固定化して額のシワが深くなるようになります。また、視界の狭さや頭痛、肩こり、集中力の低下など、学業や日常生活に影響するケースも少なくありません。軽症のうちに治療すると負担が少なく、ダウンタイムも比較的軽くなる場合があります。迷ったら一度診察を受けて、現在の状態を正しく把握することをお勧めします。
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─ DOCTOR COMMENT ─ドクターコメント
若い人の眼瞼下垂症患者さんが意外と多い事はあまり知られていません。一般の方だけでなくて、多くのドクターが眼瞼下垂は高齢者だけの病気だと錯覚しておられます。ですから若い方は本人自身も、異常な目の疲れ、頭痛、肩こりなどが眼瞼下垂の症状だとは気付きにくいのです。
しかし、そういった症状が有る時には一度疑ってみてください。チェックリストを確認して、該当しそうなら診察を受けてみましょう。もしも改善できたなら、その後の人生は快適になります。ただし大切なことは、どこで診察を受けるかです。
先述の通り、ドクターでも患者さんが若いというだけで頭から眼瞼下垂を否定してしまう傾向が多々見受けられます。迷う場合には私のクリニックにお越し下さい。偏見なく確実に診断いたします。まずは病気なのかどうかを確かめた上で、手術を受けるか否かはその後でゆっくり検討されてはいかがでしょうか。