
眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がり、黒目(瞳孔)にかぶさるような状態を言います。眼瞼下垂の症状が進行すると、視野が狭くなったり目が開けづらくなったりするため、日常生活にさまざまな支障をきたすようになります。
眼瞼下垂の保険適用の見分け方とは?
「眼瞼下垂症」の診断には明確な基準がなく、診察する医師によって異なることがあります。
そのため「眼瞼下垂症」の診断に明確な基準がないため、保険適用の判断も医師に委ねられています。
基本的に眼瞼下垂症と診断されるには、上まぶたが瞳孔(黒目の中心)の大部分まで下がり、まぶたを開くのに力を必要とし、視野障害を伴うことが必要です。(一つの目安として、黒目の中心から上まぶたの縁までの距離が3.5mm以下であれば眼瞼下垂と判断されます。)
また、眼瞼下垂症の手術に保険が適用される条件として
- 眼瞼下垂症と診断されていること
- 手術の目的が美容目的ではなく、あくまでも治療が必要とされる病気や怪我の治療であること
- その治療法が、国が認めた治療法、または厚生労働省が認めた医薬品であること
保険適用できる治療法(挙筋前転法)に規定があるため、切らない治療法や美容目的の手術方法では保険が適用できません。
眼瞼下垂の判断基準の一つまぶたの開き具合の指標のMRD-1とは
まぶたの開き具合を客観的に測る際によく使われる指標に「MRD(Margin Reflex Distance:瞼縁角膜反射距離)」があります。
MRDは角膜反射(瞳孔中央)から上眼瞼縁までの距離のことで、目の開き具合、左右差を確認します。約1.5~2.7mmで軽度下垂、約-0.5~1.5mmで中等度下垂、-0.5mm以下は重度下垂と判定します。MRD-1は当院では測定基準にしていませんが、黒目の中心から上まぶたの縁までの距離が3.5mm以下であれば眼瞼下垂と診断されます。
偽眼瞼下垂は保険適用になるのか?
偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)は、まぶたを持ち上げる筋肉や腱に異常はないものの、上まぶたの皮膚がたるんでしまっていることで、まぶたが下がって見える状態です。
上眼瞼挙筋(まぶたを挙げる筋肉)と瞼板そのものに問題があるわけではないため、「本当の眼瞼下垂」とは区別されます。偽眼瞼下垂と診断された場合は保険適用外になります。
眼瞼下垂の判断基準について
眼瞼下垂の症状の診断は、「まぶたが下がっているかどうか」だけでなく、視界が狭くなったり、視野が欠けたりすることで日常生活に支障が出ているかどうか、生活の質(QOL)や健康に影響しているかも含めて総合的に診断します。
軽度の眼瞼下垂症が保険適用外となる場合
上まぶたがわずかに一部が瞳孔を覆っているなどの軽度の眼瞼下垂と診断された場合や、視野障害(視野が狭くなる)がない場合は、保険適用外と診断されるとがあります。
ごく軽度の場合や、まぶたの皮膚がたるんで見えにくいのを解消したい、すっきりした目になりたいというなどの美容目的の場合、切らない治療を希望の場合、または他院で一度手術を受けた修正手術を希望の場合は、保険適用外となり自由診療となることが多くあります。
ただし、症状が軽くても、物を見るときに眉毛やあごを上げる癖がある場合は、視野障害がなくても眼瞼下垂と診断されることがあります。眼瞼下垂の症状は、ご自分では判断できませんので、自己判断せずにまずは専門医に診てもらうことをお勧めします。
重度の眼瞼下垂症が保険適用外となる場合
当院では、眼瞼下垂の診断に必ずシミュレーションを行っております。その際、保険の手術や切らない手術では効果が出ないほどのまぶたが重く開けられない場合や、既に上瞼の切開手術を受けた方で修正をご希望の場合は、無血手術が可能なレーザーメスを使用する手術をご提案しております。
この場合の眼瞼下垂の症状は、挙筋の位置が瞼の奥の方に落ち込んでいると引き寄せることが難しく、普通のメスで切ると出血が多くなり、挙筋をうまく見つけることが出来なくなるため、レーザーメスによる手術をお勧めすることがありますが、決して強制するものではありません。
眼瞼下垂の診断は医師によって判断基準が異なることがあるため、同じ方の症状でも重度と診断しない医師がいるかもしれませんが、当院では、術後の仕上がりやダウンタイム(腫れや内出血)、眼瞼下垂の術後の効果など、患者様のご希望をお伺いして、最適な治療方法をご提案しております。
また、仕上がりの見た目(デザイン)が気になる方は、保険診療かスーパー埋没法をお勧めしておりますので、カウンセリング時にご相談ください。
眼瞼下垂の保険適用の場合「デザイン」変わるのか
眼瞼下垂の手術を保険適用にするか自費診療にするかで悩まれている方の多くは、仕上がりの見た目について不安をお持ちです。
「保険診療だと機能改善が優先され、デザイン面は十分に配慮されないのではないか」といったご心配の声も耳にしますが、当院では見た目の仕上がりにも十分に配慮した手術を行っておりますので、どうぞご安心ください。
機能性を重視しつつも、自然なデザインに仕上げることで、見た目にも違和感のない結果を目指しています。
眼瞼下垂の手術を受ける時の医師・施設を選ぶポイント
眼瞼下垂の手術を受ける前のカウンセリングで、現在のまぶたの症状や挙筋機能のチェック、まぶたの状態の原因、治療の必要性、手術方法のわかりやすい説明など、十分な時間をかけて丁寧に対応してくれる医師がいることが、クリニック選びにおいて非常に重要です。
さらに、まぶたの開き具合や筋肉の状態以外に、肩こりや頭痛、歯ぎしり、食いしばりなどの体の不調を丁寧に診察し、触診やしっかりとしたシミュレーションを行ってくれるクリニックを選びましょう。術後の腫れやアフターケアの対応も重要なポイントです。
眼瞼下垂は患者様ごとに症状や原因が異なるため、当院では院長自らが診察を行い、シミュレーションでは、手術によってどのくらいまぶたの開きが改善するかを総合的に診断したうえで、患者様がしっかりと納得していただける治療方針を立てることを大切にしています。
眼瞼下垂手術の保険適用についてのよくある質問
- Q 眼瞼下垂の手術費用は保険適用ですか?
- A 眼瞼下垂の手術費用は手術方法によって変わります。普通のメスを使って挙筋前転法を行う場合は保険適用となります。費用は片側22,500円(3割負担)です。切らない手術、レーザーメス手術、修正手術の場合は自費診療になります。
(ただし、修正手術に関しては他院では保険で施術して貰える可能性もありますので、他院担当医師に直接ご確認下さい) - Q 眼瞼下垂は片目だけでも保険適用になりますか?
- A 眼瞼下垂の治療は片目だけでも、症状によっては保険適用の治療が可能です。その場合、片目だけの費用は22,500円程度(3割負担の場合)になります。
- Q 眼瞼下垂を切らずに治すのは保険適用ですか?
- A 保険適用できる眼瞼下垂の治療法は皮膚を切る事が前提になっています。そのため、切らない眼瞼下垂術(スーパー埋没法)による治療は保険適用ではなく、自費診療になります。
- Q 眼瞼下垂と診断される基準を教えてください。
- A 眼瞼下垂の診断基準は、上まぶたが瞳孔(黒目の中心)の大部分まで下がっている状態が挙げられます。また、まぶたを開くのに額の筋肉を必要としていることも挙げられます。黒目の中心から上まぶたの縁までの距離が3.5mm以下であれば眼瞼下垂と診断されます。
- Q 眼瞼下垂の保険適用の基準はありますか?
- A 眼瞼下垂症に保険適用される基準は
- 眼瞼下垂症と診断されていること
- 手術の目的が美容目的ではないこと
- 治療が必要とされる疾患の治療であること
- 治療法が、国が認めた治療法と厚生労働省が認めた医薬品であること
ただし「眼瞼下垂症」の診断には明確な基準がないため、保険適用の判断も医師に委ねられています。 - Q 眼瞼下垂は20代でも保険適用になりますか?
- A 眼瞼下垂の保険適用を決める年齢による制限はありません。20代でも挙筋前転法で手術する場合は保険適用になります。
- Q 眼瞼下垂の手術と二重まぶた埋没法の美容整形の違いは何ですか?
- A 眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる筋肉(挙筋)の働きが低下するため、視野が狭くなって色々な症状が出ます。ですから眼瞼下垂の手術はこの挙筋の働きを改善するために行います。一方、二重まぶた埋没法の手術は、理想の二重のラインをつくり、目を大きくキレイに見せるための施術であって、挙筋の働きは改善しません。
- Q 眼瞼下垂の手術後は仕事を何日ぐらい休めばいいですか?
- A 仕事復帰は職種によりますが、職場や周りの人に気づかれたくない方は、1週間くらいの休暇を取ると安心です。手術後の腫れや内出血は、切らない眼瞼下垂術なら1~2週間、保険の手術で2週間、レーザ-メス手術なら4週間ぐらいを目安と考えてください。
- Q どんな状態だと眼瞼下垂で保険が適用されますか?
- A 「眼瞼下垂症」の診断には明確な基準がありませんが、まぶたの下がることで視野が狭くなっているなど、眼瞼下垂症と診断されると、保険適用となります。ただし、手術の目的が美容目的の場合は、保険適用外になります。
- Q 眼瞼下垂の診断はどこで受けられますか?
- A 眼瞼下垂は眼科または形成外科、美容外科で診断を受けることができます。どちらの科でも保険診療を行っているクリニック・病院であれば、保険適用は可能です。
- Q 保険適用される手術方法は決まっていますか?
- A 保険適用できる治療法は挙筋前転法と規定があります。切らない治療法や美容目的の手術方法では、保険は適用されません。
- Q 手術は日帰りですか?入院が必要ですか?
- A 眼瞼下垂の手術は当院では日帰り手術で行っています。
- Q 手術費用はどのくらいになりますか?
- A 保険適用の場合、手術費用は両目44,000円(3割負担)です。自費診療の場合は、切らない手術は両目で250,000円(税別)、レーザーメス手術は480,000円(税別)になります。
- Q 術後の見た目も重視したい場合、どうなりますか?
- A 保険適用での手術は、機能回復が目的なので、細かい見た目(左右差、二重ラインの設定など)は自由診療に比べて制約があります。
ただし、当院では保険適用の手術でも、まぶたが最も開きやすい無理のない位置に二重のラインを設定してデザインを行い、見た目も自然な仕上がりを目指します。
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─ DOCTOR COMMENT ─ドクターコメント
眼瞼下垂の手術を保険適用か自費診療かで迷っている方は、見た目(仕上がりのデザイン)を気にされている方が多くいます。
保険適用の手術では、効果を重視して見た目(デザイン)は疎かにされるのではないかという不安があるようですが、当院では仕上がりの見た目を完全に無視する事はありませんのでご安心ください。効果の良いデザイン(仕上がり)にすると言う事は、無理がなく、見た目にも自然に仕上がることが多いのです。