ほうれい線は、鼻の横から口角にかけてハの字状に広がるシワで、鼻唇溝(びしんこう)と呼ばれる溝(ミゾ)のことです。通常は30歳を過ぎるころから目立つようになり、年齢とともに深く刻まれていきます。
加齢に伴ってまぶたが上がらなくなり、目が疲れやすい、眼の奥が痛い、肩や首の凝りがひどいなど眼瞼下垂の症状を感じる40代以降になると、ほうれい線も目立つようになってきます。

ほうれい線の原因~皮膚の衰えやハリの不足
ほうれい線ができる原因は、加齢による頬のたるみ、表情筋の衰え、乾燥や紫外線によるダメージがあります。これらが組み合わさると、ほうれい線が深くなり目立つようになります。

加齢による表情筋の衰えや頬の筋肉の使い方のクセ
ほうれい線ができる原因には、加齢による頬や口周りの表情筋、大頬骨筋や小頬骨筋の衰えや筋力の低下が関係しています。人と話す機会が少ない、笑うことが少ないなど、日常的に表情をあまり動かさない生活が続くと、口周りの表情筋を動かすことが少なくなり、皮下脂肪や皮膚を支える力が低下し、たるみが生じやすくなります。
頬の脂肪(メーラーファット)の下垂
頬の中央には「メーラーファット」と呼ばれる皮下脂肪があります。若い頃は高い位置にあり、ふっくらとした印象を与えますが、加齢によって脂肪が下がってくると、ほうれい線の上に覆いかぶさるように影ができ、ほうれい線がより深く見えるようになります。
さらに頬の脂肪が下がってくると、フェイスラインが崩れたり、ゴルゴラインが深くなったりして、頬のたるみや顔全体が大きく見える原因にもなります。
肌の乾燥によるダメージ
30~40代頃から皮脂の分泌量が減ってくると、肌が乾きやすくなります。肌が乾燥するとバリア機能が低下し、細かく浅いちりめんジワができやすくなります。乾燥によって肌の柔軟性も失われるため、一度できたシワが戻りにくくなり、ほうれい線も目立ちやすくなります。
紫外線によるダメージと真皮のコラーゲン・エラスチンの減少
紫外線は「光老化」と呼ばれる肌の老化の原因の一つです。肌にダメージを与えるのはUVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)の2つです。
UVAは波長が長く、肌の奥深くである真皮層まで到達します。UVAの影響で肌のハリや弾力を保っているコラーゲンやエラスチンが傷つけられ変性すると、皮膚を内側から支える力が弱くなり、頬のたるみが進行して、ほうれい線など深いシワが刻まれやすくなってしまいます。
UVBは波長が短く、肌表面の表皮層に主に作用します。UVBを繰り返し浴びると、肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れ、乾燥やくすみを引き起こします。乾燥した肌は柔軟性を失い、表情のクセがそのまま線となって残りやすくなってしまいます。
生活習慣でほうれい線が悪化する
日々の生活習慣は、ほうれい線を悪化させる大きな要因になります。
慢性的な睡眠不足は肌の修復やコラーゲン生成を妨げ、ハリや弾力の低下を招きます。糖質や脂質中心の偏った食生活でビタミンCやたんぱく質が不足すると、肌の弾力が失われやすくなります。さらに、喫煙は血流を悪化させてコラーゲン分解を促進させ、皮膚のハリを奪います。水分不足による乾燥も肌の柔軟性を損ない、ほうれい線のような深いシワを目立たせる原因となります。また、紫外線対策を怠ると真皮層がダメージを受けて皮膚がたるみやすくなります。こうした要因で肌の再生力が低下してハリや透明感が失われ、ほうれい線がより目立つようになります。スキンケアの際の強すぎる摩擦や顔を強くこする癖も皮膚に負担をかけ、たるみやシワを引き起こす可能性があります。
年代別のほうれい線ができる原因
30代でほうれい線が目立つ原因
20代後半から、肌のハリや弾力を保つコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸が徐々に減少してきます。30代になると、コラーゲンやエラスチンの減少による肌のハリや弾力の低下がさらに進んで、笑ったり話したりした時のシワが刻まれやすくなります。乾燥による小ジワに加え、紫外線や睡眠不足、偏った食生活、喫煙といった生活習慣や外的要因が複合的にほうれい線に影響してきます。
まだ30代は肌にはハリがありますが、徐々に筋肉や脂肪の支えられなくなってくると、頬の脂肪が下がって影ができ、ほうれい線が目立つようになります。
40代〜50代以降でほうれい線ができる原因
40代以降になると、顔の骨(特に上顎骨)が少しずつ痩せてくるようになり、皮膚や脂肪を支える力が弱くなります。さらに、皮膚の内側にあるコラーゲンやエラスチンといった弾力成分も減少するため、肌がたるみやすくなり、ほうれい線が目立つようになります。
頬周りのボリュームロスが起こるため、ほうれい線が深くなってくるようになります。
ほうれい線をセルフケアや生活習慣で予防する方法
紫外線対策でほうれい線を予防する
紫外線対策は、SPF30以上・PA+++以上の日焼け止めを季節や天候に関わらず毎朝、顔全体と首・耳の前後までムラなく塗りましょう。鼻根部や頬の高い位置など日差しがあたりやすい部位は重ね塗りがお勧めです。
汗をかいたり、擦れがあった場合は2〜3時間ごとにこまめに塗り直しすることも大事です。帽子やUVカットのサングラス、日傘などで紫外線を防ぐことも大切です。
食生活を改善してほうれい線を予防する
食生活では、柑橘類やパプリカ、ブロッコリーなどに多く含まれるビタミンCを摂取してコラーゲン生成を助け、シワ予防につなげます。
ナッツ類やアボカド、オリーブオイルに豊富なビタミンEで抗酸化作用を高めて肌細胞を守ります。トマトやベリー類、緑茶に含まれるポリフェノールやカロテノイドで紫外線ダメージを軽減させます。また、十分な水分補給で肌の乾燥を防ぐことも重要です。
体重コントロールと生活習慣でほうれい線を予防する
食急激な体重の変化によって皮膚がたるんだりシワが深くなるのを防ぐために、バランスの良い食事と適度な運動で安定した体重を保つことが大切です。また、睡眠中にコラーゲンの修復が行われるため6〜8時間の質の良い睡眠を確保するようにしましょう。喫煙によって血流が悪化しコラーゲンが分解されてシワが進行するのを避けるため禁煙を心がけることも重要です。
ほうれい線を予防するためのスキンケア
ヒアルロン酸やセラミド、ナイアシンアミドを配合した化粧品で肌の乾燥を防ぎ、バリア機能を保つようにしましょう。ビタミンC誘導体やレチノールなど抗酸化作用を持つ成分を取り入れることで真皮のコラーゲンを守り肌のハリを維持します。また、クレンジングや洗顔の際に肌を強くこすらず摩擦を避けることも大切です。
ほうれい線と眼瞼下垂の関係
眼瞼下垂症の主な原因は、上まぶたをあげる筋肉「上眼瞼挙筋」と瞼板の結合が緩んできて、まぶたを開ける力が弱ってくることです。眼瞼下垂の原因とほうれい線が生じる原因に直接の関係はありません。
しかし、40~50代以降になると、加齢に伴って上まぶたが垂れ下がり、目が開きにくくなる眼瞼下垂の症状が気になる年代になり、ほうれい線や、眉間のシワ、おでこのシワが目立ってきたと感じる方が多くいます。
ほうれい線をバレずに解消する方法
ほうれい線にヒアルロン酸やスーパーコラーゲンを注入することで、ほうれい線を目立たなくすることが可能です。ヒアルロン酸はもともと人間の体にも存在する成分なので、自然な仕上がりを目指すことが可能です。またヒアルロン酸を注入すると、ご自分の体内のヒアルロン酸と融合して皮膚にふくらみが出て、シワを隆起させます。しわが減少すると共に、ヒアルロン酸の保水効果により肌に潤いとハリのある状態になることが期待できます。
スーパーコラーゲン注射に含まれるFGFは線維芽細胞を刺激してコラーゲンの産生を促進し、シワを解消することが期待できます。深いシワの場合、スーパーコラーゲン注射の方が適していることがあります。
顔全体のバランスを見極めて治療する
ほうれい線の治療で自然な仕上がりを目指すためには、顔全体のバランスを考慮する必要があります。
当院ではカウンセリングから治療まで院長自らが行い、患者様のお顔の特徴やお悩み、ご要望に合わせて、どの部位にどのくらい注入するか、お顔のバランスを見極めて、自然で若々しい仕上がりをご提案いたします。
ほうれい線治療の持続期間とダウンタイムについて
ヒアルロン酸は半年から2年で体内に吸収される性質があるため、一度注入しても永久的に持続するわけではありません。ヒアルロン酸の効果を維持するためには、定期的に注入を繰り返す必要がありますが、ヒアルロン酸を繰り返し打ちたくないと考えている方も多くいます。
当院では、持続期間の長さやシワの深さ、シワの症状など患者様のご希望に合わせてヒアルロン酸注入やスーパーコラーゲン注射をご提案しております。
スーパーコラーゲン注射とヒアルロン酸注入の比較
スーパーコラーゲン注射 | ヒアルロン酸注入 | |
---|---|---|
改善できる悩み | 眉間やおでこの深いシワ、ほうれい線、マリオネットライン、口元のシワ | ほうれい線、目尻のシワ、目の下のシワ、眉間のシワ、口角のシワ |
副作用・リスク | 最低2週間ぐらいの腫れ、内出血 | 小さな腫れ・内出血・アレルギー・感染など |
効果実感 | 即日 | 即日 |
術後の生活 | ・洗顔・シャワー・入浴 当日からOK ・メイク・飲酒・運動 翌日からOK |
・洗顔・シャワー・入浴 当日からOK ・メイク・飲酒・運動 翌日からOK |
持続期間 | 5年以上 | ノーマルヒアルロン酸で6カ月前後、ハイパワーヒアルロン酸で2年~3年 |
ほうれい線を解消する治療に関するよくある質問
- Q ほうれい線ができやすい人の特徴を教えてください。
- A ほうれい線は、加齢による頬のたるみや表情筋の衰え、乾燥や紫外線によるダメージが組み合わさることで目立つようになります。
また、顔がふくよかな方のほうれい線は目立ちにくく、痩せている方のほうが目立つ印象がありますが、紫外線や保湿ケアが十分でない人は、皮膚の弾力が低下して体型に関係なく目立つようになります。 - Q ヒアルロン酸注入でほうれい線どのくらい持ちますか?
- A 個人差がありますが、ヒアルロン酸は半年から2年の持続期間があります。ただヒアルロン酸は体に吸収されるため、永久に持続することはありません。効果を持続させるためには定期的に繰り返し注入することで継続的に効果を実感できます。
当院では、持続期間が長い治療をご希望の方にスーパーコラーゲン注射をお勧めしております。 - Q ヒアルロン酸注入は年に何回くらい受ければいいですか?
- A ほうれい線を解消の効果を持続させたい場合は、ヒアルロン酸の注入は半年から2年ごとに受けることをお勧めいたします。
- Q ヒアルロン酸でほうれい線はなくなりますか?
- A 出来てしまったほうれい線がなくなることはありません。
ヒアルロン酸注入を受けることで、ほうれい線を目立たなくする効果が期待できます。 - Q ほうれい線の解消にヒアルロン酸とボトックスのどちらがおすすめですか?
- A ボトックス注射には筋肉の働きを緩める作用があります。ほうれい線は筋肉の動きによってできたシワではないため、ボトックス注射をしても効果がありません。たるみが原因になるほうれい線の改善にはヒアルロン酸注入、スーパーコラーゲン注射がお勧めです。
- Q ほうれい線を目立たなくするにはどうしたらいいですか?
- A 出来てしまったほうれい線を消すことはできません。しかし、深くならないようにするために「紫外線対策」「保湿ケア」「表情筋トレーニング」などがあります。
深く刻まれたほうれい線やセルフケアでの改善が難しい場合や、短期間で改善したい場合は、ヒアルロン酸注入やスーパーコラーゲン注射がお勧めです。 - Q ほうれい線に一番効く方法は何ですか?
- A ほうれい線を解消する治療はハイフ(HIFU)やリフトアップ、ヒアルロン酸注入など様々ありますが、ほうれい線の深さ、シワの症状に合わせて、持続期間、費用などご希望に合わせて医師としっかり相談することが大事です。
- Q スーパーコラーゲン注射の持続期間はどれくらいですか?
- A スーパーコラーゲン注射の持続期間は5年以上です。(個人差があります。)
- Q ほうれい線が出来にくくするにはどうしたらいいですか?
- A ほうれい線は頬がたるむと目立つようになります。 頬を支えている筋力が衰えると頬が下がってくるので、表情筋を鍛えるエクササイズやマッサージが有効です。また、シワやたるみは紫外線によって進行するため紫外線対策や、保湿をしっかり行って肌のハリをキープすることも重要です。 また、頬のたるみは無理なダイエットによる急激な体重減少や、暴飲暴食・運動不足による体重の増加によって悪化することがあるため注意が必要です。
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─ DOCTOR COMMENT ─ドクターコメント
ほうれい線の治療方法にはいくつかありますが、ヒアルロン酸注射が最もよく知られた方法だと思います。実際それを受けられた方は多数おられますが、途中でやめてしまう方も多いです。何故かというと効果の持続期間が短いので、それを維持するために年に1~2回程度注射を続けないといけないからです。
そこで当院では持続の長いしわ取り注射であるスーパーコラーゲンをお勧めしています。これは効果が5年以上続くので、一度仕上がると当分注射しなくて済みます。
またこの成分であるFGFは体内で分泌されている物質で、自分自身の皮膚にコラーゲンを作らせる働きがあります。体内に異物を注入する必要が無いのも安心できます。