最近、鏡を見るたび、気になるおでこのシワ。おでこにシワがあると、実年齢よりも老けて見えたり、疲れているような印象を与えることもあります。おでこのシワを年齢や表情のクセと思っているかもしれませんが、実は「まぶたの筋肉の衰え=眼瞼下垂」が原因になっているかもしれません。
おでこのシワとは
おでこのシワとは、額(ひたい)に横方向に現れる線状のシワのこと。主に表情のクセや加齢、肌の乾燥などが原因で生じます。
日ごろから目を見開いたり、眉を上げたりするクセのある人は、「おでこの筋肉=前頭筋」を繰り返し使っているため、おでこにシワができやすくなってしまいます。また眼瞼下垂の症状があると、目を開けづらいと感じるようになります。無意識に眉を上げて視野を確保しようするため、おでこのシワが出来やすくなると言われています。
おでこのシワの主な原因
表情のクセでおでこのシワができる
おでこのシワの原因として多いのが「表情のクセ」です。目を見開く際に眉を持ち上げるクセがあると、額の筋肉(前頭筋)を過剰に使い、その動きが繰り返されることでシワができやすくなります。無意識のクセのため、自分では気づかないことも多く、加齢や眼瞼下垂によって悪化するようになります。
加齢による肌のハリや弾力の低下でおでこのシワができる
おでこにシワができる原因のひとつに、加齢による肌のハリや弾力の低下があります。加齢に伴って、肌の弾力やハリを保つコラーゲンやエラスチンが減少してくると、肌はたるみやすくなり、表情によってできたシワが元に戻りにくくなります。肌のハリが失われるとシワが深くなります。
肌の乾燥でおでこにシワができる
肌の乾燥は、細かいシワ(小ジワ)を引き起こす原因のひとつです。健康な肌は、紫外線や摩擦といった外部からの刺激や、水分の蒸発を防ぐバリア機能を備えています。しかし、乾燥や紫外線によるダメージ、間違ったスキンケア、睡眠不足や偏った食生活、ストレスなどによって生活習慣が乱れると、肌のバリア機能が弱まり、保湿力が低下してしまいます。バリア機能が低下すると肌が乾燥しやすくなります。乾燥した肌はキメが乱れてハリを失われ、シワができやすい状態になってしまいます。
紫外線ダメージでおでこのシワができる
紫外線は、肌の老化を引き起こす外的要因です。紫外線の「UV-A波」は、肌の奥深く真皮層にまで届き、肌のハリや弾力を保つために欠かせないコラーゲンやエラスチンにダメージを与えます。紫外線を長時間浴びていると、コラーゲンやエラスチンが壊れたり、変性してしまいます。肌はハリや弾力は失われて、たるみやシワが目立ちやすくなります。
おでこのシワを予防する
おでこのシワを予防するためには、日ごろからのケアが重要です。紫外線や乾燥によって皮膚が硬くなると、シワが刻まれやすくなるため、保湿や紫外線対策、表情のクセを直すなどを心がけることで、シワの予防につながります。
表情のクセを見直す
シワの多くは「繰り返される表情の動き」によって刻まれていきます。おでこのシワは、眉を上げるクセや驚いたときに額に力が入ったり、目を開けるためにおでこに力を入れるなどのクセで出来やすくなります。普段の生活の中で、無意識におでこに力を入れていないか意識しましょう。もし目が開きにくい、まぶたが上がらないと感じる場合は、眼瞼下垂の症状を疑ってみましょう。
紫外線対策を徹底する
紫外線は肌のコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワを深くしてしまいます。晴れの日だけでなく、曇りや室内でも紫外線は届くため、UVカット効果のあるコスメや日焼け止めを毎日塗るようにしましょう。帽子や日傘などを併用すると効果的です。
保湿をしっかりして肌を守る
肌が乾燥すると、小ジワができやすくなります。保湿ケアは朝晩しっかりと行いましょう。額は皮脂が出やすくテカリやベタつきが気になる反面、保湿が足りなくなることがあります。化粧水や乳液、美容液などを使ってしっかりと潤いを与えることが大切です。
生活習慣を整える
睡眠不足、偏った食事、ストレスなども肌の老化を加速させる原因になります。バランスの取れた食生活を心がけ、十分な睡眠と休息をとって、肌のターンオーバーを正常に保つようにしましょう。
おでこのシワを消す方法とは?
一度出来てしまったおでこのシワは、セルフケアだけでは改善が難しくなります。特に深いシワはセルフケアでは限界があるため、「ボトックス注射」「ヒアルロン酸注入」「スーパーコラーゲン注射」などの治療を検討してみるのもひとつの方法です。
ただし、「おでこのシワを消す」というだけでボトックス注射など受けてしまうと、かえって表情に違和感が出たり、根本原因が改善されずに再発してしまうリスクがあります。
まぶたが重く感じたり、目を開けにくいと感じる方は、「眼瞼下垂」の可能性も考えて、一度チェックしてみることをお勧めします。
おでこのシワをボトックス注射で解消する
おでこのシワに効果が期待できる「ボトックス注射」は、前頭筋にボトックスを打つことで、筋肉の動きを抑制してシワをできにくくします。ただし、ボトックスの効果は個人差がありますが、持続期間が3~6カ月のため、効果を持続させたい時は繰り返し受ける必要があります。
ボトックス注射以外でおでこのシワを改善する
ボトックス注射以外の治療方法として、ヒアルロン酸注入や当院の「スーパーコラーゲン注射」は、肌にハリを与えてシワを内側から持ち上げる効果が期待できます。すでに深く刻まれていて、表情に関係なく常に見えているシワの場合、ボトックスだけでは十分な効果が得られないことがあります。その場合には、スーパーコラーゲン注射やヒアルロン酸注入を併せて行うことで、肌の内側からシワをふっくらと持ち上げる効果と、表情筋の動きをコントロールする作用の両方によって、より持続的な改善が期待できます。
眼瞼下垂とは
眼瞼下垂は、上眼瞼挙筋と瞼板との結合部分がその他の要因により徐々に緩んできて、まぶたを開ける力が弱まり、目が開けにくくなる症状です。まぶたが下がると「目が開きづらい」「視野が狭く感じる」などの不調や、「眠たそう」「疲れている」「年齢よりも老けて見える」といった印象を与えることがあります。
眼瞼下垂とおでこのシワの関係
眼瞼下垂の症状があると、まぶたを引き上げる筋肉の働きが弱くなり、視界を確保するために、無意識におでこ(額)の筋肉(前頭筋)を使って眉を引き上げるようになります。この習慣が繰り返されると、常におでこに力が入っているため、横ジワが深く刻まれるようになります。さらに眼瞼下垂の症状が進行すると「視野を確保しようと額に力が入り続ける → おでこにシワができやすくなる」という悪循環が起こってしまいます。
また、眼瞼下垂がある人は頭痛や肩こり、不眠症、歯ぎしり、食いしばりなど、身体的な不調が出たり、見えにくさなどが原因のストレスなど、精神面に影響が出ることもあります。
眼瞼下垂の症状に気が付いていない「隠れ眼瞼下垂」の人は、自分では気づかないうちにおでこに負担をかけていて、気づいた頃には深いシワになっていることがあります。眼瞼下垂がある方が額にボトックスを注射してしまうと、目を開けるために使っていたおでこの筋肉が動かなくなり、まぶたが十分に上がらず、視界が狭くなって日常生活に支障が出るようになります。
眼瞼下垂の治療でおでこのシワは改善できる?
眼瞼下垂の手術では、離れてしまった挙筋を瞼板の近くに縫い留めることで、まぶたを引き上げる力を回復させます。
おでこの筋肉を使わなくても目が自然に開くようになることで、おでこ(前頭筋)に力を入れる必要がなくなり、額のシワができにくくなってきます。
ただし、目を開けるために眉間やおでこに力を入れるクセが治らなかったり、シワが深く刻み込まれてしまっていたりすると、シワは完全には消えない場合もあります。その場合は眼瞼下垂の手術が完了した後にボトックス注射やヒアルロン酸、スーパーコラーゲン注射をお勧めします。
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─ DOCTOR COMMENT ─ドクターコメント
おでこのシワが目立つという症状は眼瞼下垂症の患者さんによく見られます。
おでこの筋肉を使って眉を引き上げる為におでこにシワが寄る訳ですが、眼瞼下垂症になると、こうしないと目が開かないのです。朝起きた瞬間から寝るまでの間、無意識におでこに力を入れて、眉を挙げているのです。眼瞼下垂の症状のほとんどは、おでこの緊張が原因と言っても過言ではありません。更にその原因は上眼瞼挙筋(瞼を開けるための筋肉)が働いていないことです。ですから眼瞼下垂の手術によって上眼瞼挙筋が働くようになると、おでこの緊張が和らぎ、おでこのシワを含めて様々な症状が改善されます。